共通テストの実用文はなぜ難しい?|真面目な生徒ほど迷わされる3つの理由

✿ この記事で分かること

  • 共通テスト対策で、生徒がもっとも苦戦したのが実用文だった理由
  • 現場の国語教師が感じる、実用文の難しさ3つ(架空の設定・分量と時間・出題の仕掛け)
  • 相手の言葉を真摯に受け止める「真面目な生徒」ほど惑わされてしまう構造
  • 出題方式の変更で学力は上がったのか、検証してほしいという現場の声

2学期の初めから計画的に進めてきた共通テスト対策を終えました。

生徒がもっとも苦戦したのは、実用文です。

ある生徒は振り返りに、誤った選択肢の内容が、無意識のうちに本文の内容として頭に入ってしまうと書いてくれました。

この記事では、そのコメントを手がかりに、私が感じる実用文の難しさを3つ挙げます。

今回は少し強めに語っています。ただ、これは現場の先生方の間でもよく聞かれる声です。

共通テストの実用文が難しい3つの理由

先に、全体像を表にまとめておきます。

理由 何が起きているか
① 架空の状況設定 現実味がなく、真剣に読み込む気になれない。文章が「撥水加工」のように頭に入ってこない
② 分量と時間 文章・図・データ・文書など大量の非連続テキストを、10分ほどで処理しなければならない
③ 出題の仕掛け 選択肢で読んだ内容が本文の記憶と混ざりやすく、相手の言葉を真摯に受け止める生徒ほど惑わされる

生徒の振り返り「誤った選択肢の内容が、無意識のうちに頭に入ってしまう」

先日、共通テスト対策の授業を終えました。

2学期の最初から綿密にスケジュールを立て、計画的に進めてきました。

授業の流れは、次のとおりです。

  1. 毎時間、振り返りのコメントを書かせ、フィードバックする
  2. 翌回に解答解説をつける
  3. Googleフォームで回答を記入させ、データ化する

途中から実用文を本格的に投入しましたが、生徒は実用文がとても苦手で、なかなか点が上がりませんでした。

そこで、実用文に困難を感じる人はその理由をぜひ書いてほしいと頼み、振り返りコメントに書いてもらいました。

ある生徒が、実に的確に書いてくれたので紹介します(本人の許可を得ています)。

実用文で多くの方が苦手とする点を挙げさせていただきます。文章やデータが複雑であるため、内容の読み込みが困難です。また、問題を解く際に、誤った選択肢の内容が本文の内容として無意識のうちに頭に入ってしまうことがあります。これらの問題はすべて、文章やデータの複雑さに起因していると考えられます。

本当に誠実で丁寧な生徒で、思ったことを的確に、正面から表現してくれました。

真面目な子ほど、誤った選択肢の内容を本当だと思って混乱してしまう。

これは私自身も本当に身に覚えがあるので、よくわかります。

理由1 架空の状況設定で、文章が「撥水加工」のように頭に入らない

まず、実用文は本当に実用に役立つのか、という疑問があります。

実用文と言いながら、結局は架空の状況設定なんですよね。

だから、読んでも真剣に読み込む気にならない。

同じ架空といっても小説を読むと、思わずその世界に入って、時を忘れるような感覚を覚えます。

ところが実用文を読み始めると、現実味がないために、どうしても撥水加工みたいに文章が頭に入ってきません。

小説と実用文の違いを、表にしてみます。

小説 共通テストの実用文
書かれた目的 書き手が自分の苦悩を吐露しようと、言葉と格闘しながら書く 出題のために書かれる
伝わってくるもの 文章と、書き手と対話している実感 現実の問題への熱意や信念は伝わってこない(作問への熱意はあると思いますが…)
読むときの感覚 世界に入り込み、時を忘れる 撥水加工のように頭に入ってこない

入試問題である以上、ある程度やむを得ないのかもしれません。

それでも、架空の事例に基づいて、架空の生徒が架空の対話をしている文章を読まされる。

この不毛な状況にストレスを感じるのは、私だけではないと思うのですが、いかがでしょうか。

理由2 10分で大量の非連続テキスト。これはもう「無理ゲー」

2つ目は、分量と時間の問題です。

文章、図、データ、文書といったさまざまな非連続テキストを組み合わせて読み取る必要があるのに、全体の時間配分を考えると、与えられた時間は10分ぐらいしかありません。

これはもう、無理ゲーと言っても過言ではないのではないでしょうか。

コンディションを整え、綿密に時間配分をしてトレーニングを重ねて、それで初めて実用文もガチで解けるのではないかと思います。

実際、生徒の中には、実用文は配点が20点しかないから、文学的文章や論理的文章にしっかり時間を使い、そちらで失点しない方が全体のコストパフォーマンスから見て適切だ、と判断している子が大勢います。

私も生徒だったら、どちらかといえばそう判断すると思います。

理由3 「真面目な生徒混乱作戦」になっていないか

3つ目は、冒頭の生徒が指摘した点です。

大量の複雑な文章やデータを読むなかで誤った選択肢を読み、その内容が本文の内容と混同されてしまう仕掛けになっているのではないでしょうか。

紛らわしい選択肢は評論や古文にもあります。

でも実用文は、文章・図・データと資料が多く、どこに何が書いてあったかを確かめに戻るのが大変です。そのぶん、選択肢で読んだ内容が本文の記憶と混ざりやすいのだと思います。

要するに、一生懸命に文章を読み、書き手の意図を理解しようとする真面目な姿勢を持つ人ほど、混乱してしまうのです。

私たちは日頃、相手の意見をしっかり受け止めて傾聴することが、主体的・対話的で深い学びにつながると教えてきました。

学習指導要領も、そういうことを提唱しています。

にもかかわらず、共通テストでは、相手の言葉を真摯に受け止めようとする文章読解の基礎基本を忠実に実践している生徒ほど、惑わされてしまう落とし穴が設計されている。

もちろん、「誤った情報が混じる大量の情報から、正しいものを見分ける力こそ実用的だ」という出題側の考えもあるでしょう。

批判的思考が大切なのは、私もその通りだと思います。

でも、大量の文章を高速で処理しなければならない状況では、じっくり考えたい真面目な生徒ほど混乱する、いわば「真面目な生徒混乱作戦」のようになっていることも否めないのではないでしょうか。

むしろ、高速処理が得意な器用な生徒が有利になる状況にも思えます。

出題方式の変更で、生徒の学力は上がったのか

生徒に過重な負担を強い、学校現場も対策に追われて、カリキュラムはますます過密になり、息苦しくなっていると感じます。

果たして、共通テストの出題方式が変わったことで、生徒の学力は向上したのでしょうか。

新しい共通テストは2025年に始まったばかりで、評価にはまだ時間がかかるのかもしれません。

大学入試センターも、毎年、問題の評価報告は出しています。

ただ、実用文が入ったことで生徒の読む力が実際に伸びたのかどうかは、まだ見えてきません。

効果が見られないなら、早めに改善してほしい。

もしご存じの方がいらしたら、ぜひ教えてください。

✿ まとめ

  • 共通テスト対策で、生徒がもっとも苦戦したのは実用文だった
  • 架空の状況設定のため、文章が「撥水加工」のように頭に入ってこない
  • 10分ほどで大量の非連続テキストを処理する分量は「無理ゲー」に近い
  • 選択肢の内容が本文の記憶と混ざりやすく、真面目に読む生徒ほど惑わされる
  • 出題方式の変更で読む力が伸びたのか、検証と早めの改善を望みたい

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※この記事はClaudeをアシスタントとして使用しました。
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