✿ この記事で分かること
- 評論文の授業で、単元学習をいったん脇に置いて「筋トレ」に切り替えた理由
- 題名読みから構造図・80字要約まで、30分考え続ける授業の流れ
- わかりやすい要旨を書かせるコツと、感想を「書き手の意図」へ引き上げる助言
- 教師の負担を抑えながら、よい作品をクラスで共有するフィードバックの方法
評論文の難化に、興味関心だけでは太刀打ちできない
これまで私は、探究型や課題発見・解決型の構造に寄せて授業を行ってきました。
けれども評論文のレベルが上がるにつれて、それだけでは行き詰まりを感じるようになりました。
今の生徒たちはディスプレイで育ってきた世代で、視覚情報が優位になっているなと感じています。
文字情報をしっかり読み、言葉を手がかりに深く思考するトレーニングを積まないまま育ってきた生徒が、年々増えているように思います。
特に、中学校の説明的文章から高校の評論文に移ると、レベルがぐっと上がります。
だから、興味関心を引きつけるだけでは、文章の難易度が上がったときに太刀打ちできなくなる、と思い始めました。
ちょうど模擬試験の振り返りのあとで、生徒自身が「自分は読めていない」と強く自覚していた時期でした。
そこで「読めるようになろうね」と呼びかけ、生徒のモチベーションと結びつけて始めました。
決して単元学習を否定しているわけではありません。
土台となる読む力を鍛える時間が、どうしても必要だと判断したのです。
内山節「不均等な時間」で行った授業の流れ
教材は「現代の国語」の、内山節さんの評論文「不均等な時間」です。
授業は、次の流れで進めました。
| 手順 | すること |
|---|---|
| 1. 題名読み | 「不均等な時間」とはどんな時間かを、自分の体験から予想する |
| 2. 調べる | ネットで辞書的な意味を調べる(AI検索も含めてスタート地点に) |
| 3. 音読 | 生徒を指名し、教師が間に入りながらきちっと音読する |
| 4. 構造図 | 他の人が見ても理解できるように、文章の構造を図式化する |
| 5. 80字の要旨 | 文章の内容を80字以上でまとめる |
| 6. 80字の考え | 読んで思ったこと・感じたこと・考えたことを80字以上で書く |
題名から予想させると、ほとんどの生徒が「楽しい時間は短く、授業のような苦痛な時間は長く感じる」という不均等さを挙げました。
調べるうちに「近代」という言葉が出てきて、生徒は「これは単なる身近な話ではないぞ」という印象を持ちます。
教科書で1ページ半ほどの短い文章でしたが、生徒たちは30分ほどずっと考えっぱなしでした。
ずっと考え続ける30分を作れたこと自体に、大きな手応えを感じています。
構造図は「他の人が見ても理解できるように」書かせる
構造図とは、文章中のキーワードを抜き出して配置し、矢印や囲みを使って文章の構造を図式化するものです。
キーワードをただ羅列するのではなく、まとまりごとにユニット化して配置し、関係をちゃんと示すところがポイントです。
書き方に決まりや正解はありません。
だから今回は、自分が理解するためではなく「他の人が見ても理解できるように書こうね」と話しかけました。
人にわかるように提示するには、本当に自分がとことんわかっていなければできないからです。
今回の教材は二項対立の構造から始まり、形式段落が三つだったので、上下に二項目、右から左に三項目のガイド線をあらかじめ引いておきました。
よくできた構造図は、字が丁寧で、他者意識がしっかりあり、全体のバランスや余白のこしらえ方もしっかりしていました。
パッと見ただけで論の展開がわかるようになっていて、本当に上手くなったなと思いました。
80字の要旨は「プレゼンテーションを見せるように」書く
80字の要旨でいちばんわかりやすかったのは、プレゼンテーションを見せるように書いている文章です。
生徒には「構造図を見ながら、それを文章にしたらいいんだよ」と伝え、どこがわかりやすいのかを画面共有で線を引きながら示しました。
- テーマを示す:「上野村の人々は四季折々の自然を楽しみながら暮らしている」
- 対比を示す:「隣の村ではトラクターを使った大規模農業を展開している」
- 教科書の表現を部分的に利用する:隣村の収入は上野村の100倍以上あるのに、上野村の人は隣村の農業を真似しようとはしない
こう書けば、読み手の頭にイメージが浮かび、対比構造がパッと浮かびます。
上野村視点で展開しているから、わかりやすいのだと思います。
感想を「書き手の意図」の分析へ引き上げる
感想の6、7割を占めたのは「なぜ上野村の人たちは、収入が100倍近く違うのに近代的な農業を行わないのか不思議に思った」というものでした。
これは一読者としての素直で自然な感想です。
一方で2、3割の生徒は「筆者はそうした疑問を読み手に考えさせようとしているのではないか」と書いていました。
前者が内容への反応であるのに対して、後者は書き手意識です。
一読者としての感想から、書き手についての分析へと、視座が上がっちゃっているんですね。
フィードバックでは「こういうコメントは視座が上がっていないと書けないね」と伝え、さらに視座を上げてレベルを上げていこうと話しました。
教師の負担を抑えるフィードバック|花丸、二重丸、丸
一人ひとりにコメントを書くと、私の負担がものすごく大きくなって持続可能になりません。
そこで、マークだけをつけることにしました。
| マーク | 基準 |
|---|---|
| 花丸 | よくできた作品(クラスで5、6人ほど) |
| 二重丸 | まずまずの作品 |
| 丸 | 標準をクリアしている作品 |
そこから3つか4つに絞り、手書きのワークシートを写真に撮ってロイロノートに取り込み、次の時間に提示してフィードバックしました。
写真を撮ったらすぐに共有できるなんて、10年前には考えられなかったことです。
本当にICTはありがたいです。
いちばんやってはいけないのは、できていない作品を全体の場で出して、ここがダメ、あそこがダメと言うことです。
やる気がなくなってしまいます。
だから、一歩先に進んでいる生徒の書き方を示して、全体を引き上げていくようにしています。
人にわかるように示すと、理解の甘さが見えてくる
人にわかるように示すことを求めると、生徒の理解の甘さが見えてくる。
これが今回いちばんの収穫であり、発見でした。
皆さんは、評論文をどうやって指導なさっているでしょうか。
私はやり方をよく変えてしまうので定番があまりないのですが、皆さんの実践をぜひ聞きたいと思っています。
この続きは、また折を見て報告します。
✿ まとめ
- 評論文が難しくなると、興味関心を引く工夫だけでは読めない。土台の読む力を鍛える時間が要る
- 題名読み→調べる→音読→構造図→80字の要旨→80字の考えで、生徒は30分考え続けた
- 構造図は「他の人が見ても理解できるように」。人に示そうとすると理解の甘さが見える
- 要旨は構造図を見ながら、プレゼンテーションを見せるように書く
- 感想は一読者の反応から、書き手の意図の分析へと視座を上げていく
- 評価はマークだけにして負担を抑え、よい作品をロイロノートで共有する
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※この記事はClaudeをアシスタントとして使用しました。
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