志望理由書は、書かせる前に勝負がついている~総合型選抜を教員の側から語る【前編】~

✿ この記事のハイライト

総合型選抜の発信は、生徒や保護者向けのノウハウが中心です。

この連載では、教員の側から「どう生徒を見つけ、火をつけ、書かせ、面接に送り出し、挑戦させるか」を語ります。

第1弾は志望理由書。前編は、書かせる前の段階の話です。

県立の総合学科で、仲間とともに国公立大学30名を総合型選抜で出した現場では、「この子は向いているのではないか」という情報が教員の間で共有され、何度も面談を重ねて生徒に火をつけていました。

志望理由書の指導は、書き方を教える前に、生徒のそれまでの歴史を見るところから始まっています。

骨太な理念を持つ総合学科で

私は2011年、総合学科の県立高校に赴任しました。

その学科は今から約28年前に県全体で力を入れて立ち上げられたもので、骨太な理念のもとにカリキュラムが組まれていました。

総合的な学習の時間にも厚みのある取り組みが積み重なっていて、それが学校の財産でした。

一方で、ICTが入ってくる時期でもあり、学校としては岐路に立っていました。

2014年に私はカリキュラムマネジメント推進リーダーとなり、総合的な探究の時間へのマイナーチェンジを担当しました。

うちの県は3年先取りで探究の時間へ移行しています。

そういう先取りの時代に、総合学科の生徒が総合型選抜に挑戦して進路を切り開くのは、当時としては先進的な取り組みだったと思っています。

進学実績もかなり出していました。

私が学年主任を務めた時代には、仲間とともに国公立大学30名を総合型選抜で出した実績があります。

今回の前編では、そういう生徒をどう見つけ、どう挑戦する気にしたのか、という「書く前」の話をします。

志望理由書の具体的な書かせ方は後編で、学校体制づくりの話はまた別の機会に譲ります。

「この子は総合型選抜に向いているのではないか」

生徒本人が挑戦を希望する場合も多くあります。

先輩から聞いていたり、興味のある大学が総合型選抜をやっていたり。

一方で、1、2年生の頃から進路指導の先生、教科担当、担任が早くからアプローチして、向いている生徒を見つけることもしていました。

向いている生徒というのは、それまでに何らかの取り組みの歴史がある生徒、アピールポイントがある生徒のことです。

進路検討会議などで発掘していました。

サッカー部の生徒は、障害のある方の施設の海水浴のサポーターを務めていました。

バスケットボール部の生徒は、地域の小学生向けのバスケットボール講座でコーチを引き受けていました。

平和活動に熱心な生徒もいましたし、学校行事以外の国際交流イベントにも積極的に出て活動している生徒が結構いました。

部活動を中心に、いろんな体験活動を繰り返してきた生徒がいたんです。

普通科と違って、さまざまな個性や興味関心を持つ生徒がいる。

これが総合学科の特質で、総合型選抜に挑戦する素地を作っていたと思います。

加えて、1年生から産業社会と人間、つづく2,3年生で総合的な探究の時間で、自分でテーマを持って調査研究してきたこと、ポートフォリオという蓄積があったこと。

この二つが、挑戦しやすい生徒を発掘するベースになっていました。

名馬を見抜く伯楽のような目

そういう学校文化の中で、「この子は総合型選抜に向いているのではないか」という情報は、教員の間で共有知として存在していました。

教科担当、担任、学年会の先生方が連携して、「ちょっと話しかけてみようよ」と声をかけるのがきっかけになることもありました。

実際に話しかけてみると、生徒自身が改めて自分の生育歴を見返して、「これ、自分の売りにして挑戦できそう」と気づくんですね。

そういう大学があるなら自分にぴったりだ、挑戦してみたい、というマッチングがうまくいくこともよくありました。

生徒を見抜く目は、学校の取り組みの歴史の中で、いろいろな教員に培われていたのだと思います。

まさに名馬を見抜く伯楽のようでした。

その目は歴代の先生方から次世代の先生へ実践知として受け継がれていて、これが他の学校にはないアドバンテージだったと思います。

赴任当初、「この子は総合型選抜に向いている」と言われた生徒が本当に向いているのかな、と不思議だったんですけれども、結構当たっていることが多かったんです。

何年か勤めるうちに、自分自身にも「この子は向いている」とわかるようになりました。

城南高校の視察で、さらに火が付いた

総合型選抜をたくさん出願させることでは、当時、他の学校よりも先んじていたと思います。

全国でさらに先んじていたのが、ドリカムプランで有名な福岡の城南高等学校です。

私が早くから校長先生に掛け合って予算を取ってもらい、総合的な探究の時間の担当者3人ほどで見学にも行きました。

この視察で、さらに火が付いたと思います。

書き方を教える前に、火をつける

担任、学年団、学年主任、進路部長などが「この子は向いているのではないか」と話し合い、本人との面談に進みます。

長年の実践で培われた感覚があって、本人に具体的に学校の話をすると、だいたいマッチングすることが多いですね。

もちろん断る生徒もいます。

もともとその学校を強く希望している場合もよくありました。

ただ、多くの生徒は部活動に夢中で、進路方面の情報がとても薄い状態です。

そこで教員の側から、進路に関する情報を出していきます。

面談は何回も、何日もかけて重ね、保護者を交えた三者面談ももちろん行います。

その中で、「どうも自分は合っているし、向いているからチャレンジしてみよう」となっていく。

そうやって生徒に火をつけていきました。

総合学科として生徒をプッシュする文化がもともとあったこと。

ここが、他の学校と大きく違うところではないでしょうか。

皆さんの学校ではどうしていますか

志望理由書の指導は、書き方を教える前に、生徒のそれまでの歴史、生育歴を見て火をつけるところから始まっています。

皆さんの学校では、総合型選抜に向いている生徒をどうやって見つけていますか。

生徒からの申し出を待つ、生徒のやる気に任せる、という学校も多いのではないでしょうか。

後編では、志望理由書の具体的な書かせ方をお話しします。

特に、生徒の生育歴を掘り起こす対話が、志望理由書指導の要だと私は思っています。

※この記事はClaudeをアシスタントとして使用しました。
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