書き方より先に鍛えるもの~ストライクゾーンで考える、入試小論文の最短ルート~

小論文指導と聞くと、まず「書き方」を教え込むところから始めると思われがちです。

でも入試までの時間が限られているなら、それは案外遠回りかもしれません。

150人以上の生徒と向き合ってきて私がたどり着いたのは、「何を書くべきか」を先に固め、書き方は後からついてくるという逆算の発想でした。

最初の答案には、あえて赤を一切入れません。

「どういうつもりでこれを書いたの?」と対話でひたすら聞き出し、生徒自身にズレを自覚させる。

回り道に見えて、これが実は一番の時短になるのです。

https://youtu.be/BVarB1Fbltc


慌てる生徒のモチベーションを利用する

入試に小論文が課せられると知った生徒は、たいてい慌てて相談に来ます。

どうしていいかわからない、でも合格したいという切実な気持ちがある。

私はこのモチベーションを指導の推進力として利用することにしています。エビデンスと呼べるようなデータはありませんが、150人以上を見てきた経験の中で、これが最短ルートだと確信している方法があります。

まず最初にすることは、3年ほど前の過去問を実際に解かせることです。

今の実力と、合格に必要な水準との差を測るためですね。

この答えを分析して、残された時間で何をどう埋めていくかを、私はざっくり頭の中でイメージしてからスタートします。

差の大きさに応じて、生徒一人ひとりへの作戦もまったく変わってきます。

「書き方」から入らない理由

一般的な小論文指導の会社さんなどは、まず書き方のテキストをやらせてから内容を仕込む、という順序で指導書を組んでいることが多いようです。

高校1、2年生から時間をかけて始められるなら、その順序でもいいと思います。

でも志望校が決まり、合格しなければならないという段階の生徒に、悠長な時間はありません。

何度も試してきましたが、書き方から入ると生徒のモチベーションが続かず、「やっただけ」で終わってしまうことがほとんどでした。

むしろ授業の中で書く必然性を持たせ、迫っていくほうが、よほど力がつくと感じています。

アドミッションポリシーを生徒と共有する

だからこそ、志望校・志望学部が掲げるアドミッションポリシーの確認から入ります。

たとえば経済学部なら、効率よく稼いで業績を上げればいいという発想でも、貧しい人を切り捨てるような発想でもなく、人々の幸せのために社会や経済の仕組みを考えられる学生を求めている——そういう基本スタンスを、まず生徒としっかり共有してから始めます。

「テーマ調べノート」でコンテンツを蓄積する

次に、その学校の過去10年分ほどの小論文問題にざっと目を通し、頻出のジャンルを洗い出します。

そこから10個ほどテーマをピックアップし、「テーマ調べノート」を作らせます。

言葉の意味、問題点、現状、解決策、具体的事例を、それぞれ200字程度でまとめる作業です。

最近はAIのディープリサーチを下調べに活用させつつ、まとめ自体は必ず自分の手で、手書きで書いてくるように伝えています。

ここで手を抜かせないことが本当に大事だと思っています。

このコンテンツの蓄積こそが、書き始める前の最重要工程です。

本来なら高校1、2年生のうちに全教科を通じて培われているべきものですが、受験を意識していない生徒がほとんどで、多くはゼロからのスタートになります。

どれほど文章の技術が高くても、書くべき内容がずれていれば、それはもう採点対象から外されてしまう。

逆に、その学部学科の「ストライクゾーン」にさえ入っていれば、多少字句おかしくても許容されることが多い。

だから私は、このストライクゾーンにはまるコンテンツを生徒に持たせることこそが、受験指導の一番の肝だと考えています。

内容がある程度固まったら、5年ほど前の過去問から6年、7年、8年とさかのぼりながら書かせ始めます。直近2、3年分は、直前1、2週間の仕上げ用にとっておきます。

赤を入れない、第1回目の指導

最初に持ってきた答案には、ほとんど赤を入れません。

生徒は不思議そうな顔をしますが、そこから対話が始まります。

「どういうつもりでこれを書いたの」「どう考えてこの結論になったの」——コーチングのように、とにかく生徒に言わせ続けます。

書くべき内容から自分がどれだけずれているかを、生徒自身の言葉で自覚させていく。

出てこなければ、こちらから示すか、調べノートを振り返らせて気づかせる。

ひどいときは5、6回書き直しを求めることもありますが、この1回目の指導にとことん時間をかけることが、実は最大の時短になると私は考えています。

8割ほど仕上がったところで、初めて赤を入れます。

ここまでできると、生徒は「自分の全力を出すとこういう答案になるんだ」という感覚を掴みます。この状態を本番でも再現できれば、自分は自分自身の“添削者”になれる——そういう自信を持たせるためにも、1回目の指導はとにかく丁寧にやります。

2回目以降は数をこなす

2回目、3回目からは数をこなしていきます。

内容がストライクゾーンに入っていなければ、まだ添削せず対話に戻る。

ゾーンに入ってきたら、そこから字句の訂正に赤を入れていく。

これを繰り返すうちに、生徒は「自分だったらどう直すか」を自問自答しながら書けるようになっていきます。

文章もだんだん整っていきますし、もともと書くのが得意でない子は、文体をシンプルにするだけでもズレが減っていきます。

書写という最後の手段

それでも良くならない場合は、お手本の書写をさせることもあります。

私自身がお手本を書くこともありますが、違う種類のお手本を何度も写させることで、次第に力がついていく生徒がいます。

これはスポーツが得意な子に多い印象で、身体を通して文章が体の中に入っていくのかもしれません。

「学ぶことは真似ること」だと実感する瞬間を、私は何度も見てきました。

それでも書けない生徒には、個別最適な指導を考えていくしかないと思っています。

生徒に合わせて逆算する

受験日の10日ほど前になったら、直近2、3年分の過去問で最後の仕上げに入ります。

よくできる生徒なら2、3週間で間に合いますが、道のりが長い生徒だと3ヶ月かかることもあります。

総合型選抜なら3ヶ月前からでも間に合いますが、国公立の二次・後期のように小論文が課される場合、2週間で仕上げなければならないこともあり、本当にその子その子でカスタマイズが必要だと感じています。

長年、150人以上の生徒と向き合ってきた中で私なりに行き着いたのは、生徒の力量に合わせて逆向きに計算し、その子が持てる力を最大限に発揮できるように導く、という指導法です。

他の先生方はどんなふうに指導されているのか、いつか意見交換の場も持ててみたいと思っています。


※この記事はClaudeをアシスタントとして使用しました。

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